年収、ローン…家の購入予算はどう決める?

住宅購入予算に関する疑問イメージ
憧れのマイホーム。せっかく家を買うなら、自分たちが買える範囲で、できるだけ高級な家を買いたいと思う人もいるでしょう。しかし、金融機関が融資してくれるお金には限度があります。また、多くのお金を借りて家を買えば、返済ができなくなるリスクが高まります。では、購入に失敗しないよう、リスクを抑えるためにはどうしたら良いのでしょうか。自分たちに合った適正な価格について考えていきましょう。

月々の返済額の設定について

まず、住宅ローンの返済で失敗しないためには、月々の返済額を現在の住居費と大きく変わらない金額に設定する必要があります。基本的に月収は変わらないのですから、他の支出を節約しようとがんばっても、現住居費のプラス20%程度が上限でしょう。また、今は共働きで二つの収入源があるとしても、住宅購入を機に妻が出産をして退職する可能性があるという場合は、現在の家賃よりも住宅ローンの支払額が少なくなるようにするべきです。

 

月々の返済額を抑えるためには、返済年数を長く設定する必要があります。一般的な住宅ローンならば、返済期間は最長で35年。返済リスクを抑えるためには、短期で無理に返そうとせず、長めの返済期間を設定するといいでしょう。すると、もしも収入が下がっても、毎月の返済が滞るリスクが減らせます。ただし、返済期間の長さは、住宅ローンを借り入れる年齢を考慮して決める必要があります。確実に収入が減るであろう、定年退職後まで何年も返済が残っている、というような状況はできるだけ避けるのがよいでしょう。

年収と融資額、返済比率について

購入予算を計算するイメージ

一般的な住宅ローンの融資額は年収の何倍程度が最適なのかも知っておきましょう。2016年のデータになりますが、住宅金融支援機構の調査情報を紹介します(※)。

 

この調査結果では、土地付き注文住宅を購入する人の融資額は全国平均で、年収の7倍程度、新築マンションは7倍弱、建売住宅は6.5倍となっています。中古は5倍超程度とやや下がっています。また、2016年までの過去10年間で、融資額の年収に対する倍率は、年々上昇しています。理由としては、物件価格の上昇と金利の低下が考えられます。低金利の時勢では、融資額を増やしても返済総額が抑えられるので、比較的融資を受けやすいと考えられるのです。

 

また、住宅ローンの返済額を考える上で、収入に対し返済額は何%にするのかという、「返済比率」を考えることも重要です。

フラット35では、年収400万円未満の人は返済比率30%以下の金額までしか借り入れできません。一方、年収400万円以上であれば返済比率は35%までアップします。ここから考えると、住宅ローンの返済比率の上限は収入に対して35%程度。無理しないようにするなら25〜30%が適正だと考えられます。年収500万円の人が返済比率を30%にすると、年間の返済額は150万円、月々、125,000円になります。

 

年収500万円ですと、月々の手取り収入は30万円ほどになる人が多いと思います(月給のみの場合)。手取り収入に対する住宅ローンの返済額を考えれば、月々125,000円のローン返済はかなり大きな支出でしょう。暮らしを切り詰めすぎるといずれ苦しくなってくるので、この場合は毎月の返済額をもっと下げておいた方がいいかと思われます。このように実際に考えるときには、手取りの収入金額で見ることが必要です。

年収500万円での購入シミュレーション

では、実際に年収500万円の人が、融資を受けて無理のない返済で購入できる物件価格は、どのくらいになるのでしょうか。シミュレーションしてみましょう。

 

現在の融資金額の平均水準が、年収の約6倍であると考えれば、年収500万円の人が借り入れる融資金額の目安は3,000万円になります。自己資金として頭金が物件価格の1割と仮定すれば、3,300万円程度の物件を購入できると考えられます。3,000万円の借入れ条件を金利1.4%、返済期間35年と仮定すると、月々の返済額は90,393円となります。

 

仮に、年収500万円の内訳が月収35万円と年額ボーナス80万円だとすると、諸々差し引かれた毎月の手取り収入は27~28万円程度と考えられます。手取り収入に対する住居費の割合が、丁度30%くらいになります。しかし、もう少し毎月の生活費にゆとりを持たせたいところです。月々の返済比率を下げるためには、ボーナス払いの併用が考えられます。ただし、ボーナスの支給は業績などに左右されるので、あまり多めの金額設定にはしない方がいいでしょう。

 

また、住宅ローン減税の適用を受ければ、10年間は所得税と住民税から毎年ローン残高の1%が控除されます(残高3,000万円なら30万円)。さらに頭金をもう少し用意できるのであれば、借入れ額を減らして、毎月の返済額を8万円台に抑えることが可能になります。

 

住宅ローンの返済ができなくなると、最悪の場合、せっかく購入したわが家を任意売却や競売などで手放さざるを得なくなることもあります。生活環境の大幅な変化、子供の将来にも影響するなど、家を失うリスクはとても大きなものです。そのような事態に陥らないためにも、住宅ローンは適正な金額を借り入れて、ローンの借り換えや繰上げ返済も考えながら、無理のない返済計画を立てましょう。

 

※出典:住宅金融支援機構ホームページ「2016年度フラット35利用者調査」5-1~5-3〈年収倍率〉

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