間取りの考え方を理解して住まいを選ぶ

間取り図とメジャー、筆記用具
住宅購入の際に間取りの基本的な考え方を知っておかないと、入居後に住みにくさを感じて後悔することにもなりかねません。平面図の上では住み心地が良さそうに見えた家でも、実際に住んでみると必要な設備が分散していたりして、不便に思うこともあるのです。
家族構成や暮らし方によって、どんな間取りがいいかは変わってきますので、いろいろな考え方を知っておきましょう。

「生活動線」を考える

暮らしやすい間取りとは、まず「生活動線」が考えられていることが挙げられます。「生活動線」とは、各居室や設備への人の動き(道筋)のことで、日常生活を送る上で快適さを左右するとても大切な要素です。

 

【家事動線1:炊事・食事】

例えば、炊事をするキッチンと作った物を食べるダイニングが離れているとどうでしょうか。料理や食器を運ぶ距離が遠いのは面倒ですね。運ぶ物によってはこぼしたり、ぶつかったりというリスクも高くなります。それが複数回だとさらに大変ですし、まして毎日のこととなると非常にストレスが溜まるものです。ダイニングがキッチンのすぐ近くにある、または楽に行き来が出来る導線であるならば、日々スムーズに炊事・食事ができます。

 

また、キッチンに勝手口があると、いろいろと便利です。例えばたくさんの食材を運び入れるときに、玄関ではなく勝手口から入れられれば、一旦置いておくにしてもすぐにしまうにしても楽にできそうです。ゴミが多くなったときに、収集日まで外に出しておけるのも勝手口の利点です。

 

【家事動線2:洗濯】

洗濯も基本的には毎日発生する家事の一つです。ですから、やはりストレスのない導線が必要になります。考えるべきは、洗濯をする洗濯機置き場と仕上がった洗濯物を干す場所の導線です。例えば、洗濯機は1階、物干しベランダは2階でいいのか。室内干しの場合、乾燥機がある浴室とのつながりはスムーズかなどを念頭に確認しましょう。

 

【日常動線:トイレ・洗面・浴室】

トイレは利用回数が多いだけに不便な場所にあると困りますが、かといってダイニングの近くや玄関から出入りが見えるような場所では、不都合に感じることもあるでしょう。水が流れる音も気にならないような配置がいいかもしれません。

 

洗面所と浴室は、一般的には隣接しているものです。そこに「脱衣」という行為が入ってくるので、家族で洗面と脱衣が重なった場合には、ある程度の広さがないと同時には使えないということになります。さらに洗濯機置き場も併設されることが多いので、洗濯物のカゴを置くスペースなども考える必要があるでしょう。

 

このように、一つひとつの家事の導線と、家族みんなが生活するという関わりの中での導線を考える必要があります。忙しい朝の時間帯での洗面所付近のすれ違いや、深夜に寝ている家族を起こすことのないトイレの配置など、家族での暮らしを考えながら、間取りを考えていきましょう。

家族構成の変化を考える

さまざまな家族構成が存在するイメージイラスト

家族での暮らしは、年月とともに様子が変わっていくものです。まず夫婦二人の暮らしが大きく変わるのは、子供の誕生です。その後、子供の数だけ家族人数は増え、その都度暮らしの様子も変化していきます。やがて子供が成長すると親元の家を離れるときが訪れます。再び家族の人数が減り、元の夫婦二人に戻っていきます。途中、もしかしたら年を重ねた親と三世代同居になることもあるかもしれません。

 

このような家族人数の増減や状況の変化によって、必要な部屋数や住まいの機能も変わります。

 

例えば、子供が乳幼児の頃までは、部屋数の必要性はあまり感じないかもしれません。しかし、成長とともに学習の環境を整えることや、自立心を培うために子供用の個室が必要になるでしょう。やがて子供が大学生や社会人になって独立すると、子供部屋は不要になります。もしかしたら夫婦二人では使い切れない部屋が出てくる可能性もあります。さらに親が高齢になれば、バリアフリー住宅などの安全性に配慮した、機能面での変更が必要になるかもしれません。

 

このような、将来的な居住ニーズの変化に対応するためには、「壁を新たに設けて個室を増やす」、逆に「壁を取り除いてリビングを広くする」などの対策が考えられます。将来的なリフォームの予算化が難しい場合、最初から部屋に可動間仕切りがある家を選んでおけば、簡単に部屋の分割・拡大が実現できます。

 

この場合、大掛かりな工事をしなくても、例えば、最初は大きめの子供部屋を作り、子供が増えて二部屋必要になったら、間仕切を動かして子供部屋を二つにできます。子供が独立したら、収納部屋を一つ作り、後は夫婦が過ごしやすいような大きなリビングと寝室のみに変えてもいいでしょう。

 

また、最初から階段などに手すりを設置しておく、居住間の段差がない家を選ぶなどは、購入時に将来を見越して検討できる事柄です。

リビングの使い方あれこれ

主に家族が集まり、団らんの時間を過ごすために設けられるリビングですが、それ以外の用途や意味を持たせる使い方が増えています。例えば、勉強部屋としての子供部屋を設けずに、リビングで勉強させる家庭があります。また、1階のリビングに階段を設けることで、外出時・帰宅時に家族が必ずリビングを通る動線の間取りも人気です。いずれも家族間の自然なコミュニケーションを重視した使い方です。

 

また、キッチンのスタイルも進化・多様化しています。すでに一般的になっている対面カウンター型キッチンは、料理をしながらリビングにいる家族の様子がわかり、子供が配膳の手伝いなどもしやすいことから人気のタイプです。対面カウンター型キッチンの派生形として、アイランド型、ペニンシュラ型、L字型、コの字型などがあり、夫婦で料理を楽しみたい人や大勢の人を招いたホームパーティーをしたい人など、使い方によって広さや形を選ぶことができます。一方、閉じた空間となる独立型のキッチンは、煙やにおいが広がりにくく、多少雑然としていても気にならないという点が長所としてあり、あえて選ぶ人が多いようです。

 

暮らし方や家族とのコミュニケーション、将来の変化までを見据えて、住まいに求めるもの、家族での快適な暮らしを考えて間取りを決めましょう。

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