バリアフリーを考えた店舗づくりについて

バリアフリー対応としてスロープを設置してあるイラスト
幅広いターゲットを狙った店づくりをするためには、高齢者でも利用しやすいバリアフリー対策を検討する必要があります。体の不自由な人でも使いやすく、また来店しやすい店づくりをするためには、具体的にどのような取り組みが必要なのでしょう。そのポイントを紹介します。

全ての人が使いやすい店に

店に一人でも多くの人を呼び込みたいと思ったら、若年層だけでなく高齢者や体の不自由なお客様の来店も想定することが必要です。そういった人でも利用しやすい店内環境づくりができれば、特に不自由でない人にとっても使いやすい店になることでしょう。

 

基本のバリアフリー対策として、まずは段差をできる限りなくすことを考えます。段差があると車椅子の人は店内に入ることができませんし、高齢者はつまずいてけがをすることがあります。健康な人でも体調が悪かったり、アルコールが入っていたりすると段差でつまずく危険性があります。段差をできる限り少なくすれば、そのようなリスクが少ない店づくりにつながります。

 

段差をなくすためには、スロープを設置するのが最も一般的な方法です。前面道路から店内に入るのに高低差があるのはよくあることですが、この部分が階段ではなくスロープになっていれば車椅子でも店内に入りやすいですし、小さな子供をベビーカーに乗せている場合もそのまま入れるので楽ですね。また、スロープには手すりを付けるべきでしょう。高齢者は手すりがあれば安心してスロープを登ることができます。車椅子はどうしても幅を取ってしまうので、車椅子でも入りやすいようにスロープの幅は広くしておきます。さらに、スロープの勾配が急だとかえって危険なので、できるだけ緩やかにしましょう。また、スロープ部分の床色を変えておくことをおすすめします。そうすることで、フラットな部分との区別がしやすく、より安全です。

 

店内通路も車椅子が通れる幅を確保します。また、客席の椅子をよければそのまま車椅子で着席できるような仕様にしておけば、利用者はストレス少なくくつろげるでしょう。

トイレなどの設備対策

バリアフリー対応であることを伝える表示パネルのサンプル

入り口や客席のバリアフリー対策以外に、トイレの安全対策も重要です。車椅子でも入れるトイレはかなりの広さを必要とするので、なかなか設置は大変ですが、できる範囲での対策は考えられます。

 

まず、誰でもトイレを安全に使えるように、手すりの設置をおすすめします。できるだけ広めにして、介助者が一緒に入れるようにしておくということも有効です。より細かな配慮として、洗面台や鏡の位置を高すぎないようにしておくことも挙げられます。

 

誰でも入りやすい入り口、動きやすい店内、誰でも使いやすいトイレがあれば、その店のバリアフリーへの配慮はお客様に伝わるでしょう。

空中階でのバリアフリー店舗について

2階以上の空中階でバリアフリー対策をした店舗を開くときには、別の注意点があります。

 

まずはエレベーターの設置が必須だということです。足の不自由な人にとって、階段を利用するのは大変に困難ですから、エレベーターを使うことを前提として、かつ使いやすいエレベーターのあるテナントビルを選びましょう。

 

使いやすいエレベーターの条件とは、まずは十分な広さがあるかどうかです。5~6人用の小さなエレベーターの場合、車椅子1台が乗ると、あとは介助者のほか一人か二人入れるかどうかという大きさです。この場合、他の利用者が乗れないなど、気兼ねや遠慮の気持ちが生じて快く利用できないかもしれません。できるなら10人定員程度の大型エレベーターがあるといいでしょう。

 

またビル入り口からエレベーターまでの通路、エレベーターを出てから店舗までの通路の状態も当然見ておく必要があります。通路幅が十分にあるか、段差がないかを確認してから、空中階店舗のテナントビルを選びましょう。

 

店舗づくり以外の部分でも、メニューを読みやすいものにする、筆談で注文できるようにするなど、体の不自由な人や高齢者に対する配慮の方法はさまざまあります。高齢化が進む日本社会の状況、あるいは多様な個性を持つ一人ひとりに対応するためには、誰でも使いやすい公共の施設はますます必要になってきます。店舗のバリアフリー工事に対して、助成金を出している自治体もあります。これらを利用して、多くの人に優しい店舗づくりを検討してみてはいかがでしょうか。

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