マンションの新生活について

家具を配置したマンション洋室のイメージ画像
マンションで新生活を送るためには、入居前に済ませておきたいことや入居後に気を付けるべきことがたくさんあります。マンションでは、同じ建物の中でいくつもの世帯が暮らしていくわけですから、入居前からルールを理解していろいろなことに気を配っておくことが必要です。

入居前に済ませておきたいこと

【管理規約と使用細則について】

分譲マンションに住む場合には、共用部分の管理や管理組合の運営などについて明文化したルールである「マンション管理規約」を必ず熟読しましょう。管理規約は新築時であれば購入手続きの中で、販売会社または管理会社から手渡されます。新築当初は、本来区分所有者で形成される「マンション管理組合」が発足していないので、管理会社などが標準的な規約を作成・提示してくれます。中古マンションを購入する場合も、売買契約の手続きの中で、仲介する不動産会社を通じて受領することになります。

 

また、大抵は管理規約に加えて、更に細かなルールを定めた「使用細則」も存在しています。よく読んでおきましょう。

 

内容にわからない点や疑問な部分があるなら、管理会社または管理組合理事会に確認します。トラブルを防ぎ、快適な暮らしを送るためにとても大切なことですから、なんとなくそのままにせずにきちんと解消しておきましょう。

 

【ライフラインについて】

新生活を始めるためには、ライフラインがすぐに使えるようにしておく必要があります。特にガスについては、必ず現地にガス会社の担当者に来てもらい、開栓しなくてはなりません。申込みから使用開始までに日数がかかるので、引越日が決まったら、ガス開栓の申込みは早めにすることを心がけましょう。

 

一方、電気や水道は、電話やWEBサイトで利用開始手続きができ、担当者の立会いがないので即日使用開始できる場合もあります。ただし、確実に即日使用できると約束されているわけではありませんので、引越しの数日前に手続きを済ませておくと安心です。また、旧宅の退去に当たっては、各ライフラインの使用停止手続きをする必要もあります。停止手続きと同じタイミングで新居での使用開始手続きも済ませておくといいでしょう。

 

【インターネット・電話の手続きについて】

インターネットや電話は、開通工事が必要になる場合が多く、申込みから開通までにかなりの日数がかかります。申込みは基本的にWEBサイトで済ませられますが、申込み内容や移転先の条件によって手続きの内容や費用が変わってきます。

 

特にマンションでは利用する回線の種類や共聴設備の整備状況によって工事の内容がさまざまであるため、申込み時にしっかりと確認しておくことが大切です。分譲マンションでは、共用部分までインターネット回線の引き込みがされている場合がほとんどですが、専有部分(住戸内)への開通工事は入居者が手続きする必要があります。また、別途プロバイダ契約が必要な場合は、忘れずに手続きしましょう。

 

特に春先の引越しシーズンなどの繁忙期には、自分が希望する工事日程をかなえることが難しいため、電話で2週間以上、インターネットでは1カ月以上前にサービス提供会社に連絡することをおすすめします。

引越し時のあいさつ回りについて

マンションの左右隣と上下住戸があいさつ先だと示したイラスト

新居に入居したときの近隣へのあいさつ回りはとても大切です。マンションであいさつ回りを行う場合には、両隣と直上直下の住戸にもうかがうことが良いと言われています。このあいさつ回りには、単なるあいさつというだけでなく、引越し時に迷惑をかけたことへのお詫びと、新しいお付き合いをお願いする意味があります。加えて、どのような人が近隣で生活しているのかということを、互いに共有できるという効果もあります。

 

マンションでは壁や床を隔てた近接スペースでそれぞれが生活を送ることになりますから、故意ではなくとも騒音などで迷惑をかけてしまうことが起こり得ます。そんなとき、まったくわからない人が出す騒音と、お互いを知っている人が出す騒音とでは、迷惑に感じる度合いに差が生まれます。

 

例えばあいさつ回りのときに、小さな子供がいて足音を立ててしまうことがあるかもしれないとか、仕事で帰宅が遅くなることが多いので深夜に生活音がしてしまうかもしれないということなどをきっちり伝えておくだけで、度を越した騒音でなければ好意的に受け止めてもらえる可能性が高まります。

 

また、あいさつ回りには簡単な手みやげを持っていくことも忘れないようにしましょう。手みやげには、日持ちする菓子類という選択もありますが、洗剤やタオルなどの日用品のほうが無難ということも言えます。いずれにしても丁寧なあいさつの言葉とともに添えることが大切です。

管理組合の一員であることを意識する

マンションでは、区分所有者全員による「管理組合」が組織されます。管理組合はマンション全体の維持・管理を行うための組織で、マンションの区分所有者は自動的に管理組合の構成員に組み込まれます。任意で加入や脱退ができるものではなく、管理組合へ加入するための特別な手続きも存在しません。

 

つまり、マンションを購入して区分所有者になるということは、管理組合の一員になるということであり、自分自身もマンションの管理に参加しなければならないということです。

 

管理組合では、総会を開催して意思決定をし、理事会による業務執行によって運営されることになります。加えて管理費の徴収や修繕積立金の運用など、管理組合としての金銭の出納管理や、日常的な清掃・設備点検、あるいは長期修繕計画の策定・実施といった暮らしの快適性から資産価値の維持まで、幅広い管理業務が定められています。しかし実際には、すべてを区分所有者で行うことが難しいため、一般的には管理会社に管理業務を委託するという形をとります。

 

とはいえ、管理会社に管理委託費を支払っているから全てを任せておけばよいというのではなく、自分たちが持ち寄ったお金で、本来自分たちがこなすべき業務を管理会社にお願いしているという事実を頭に入れておきましょう。理事会メンバーや管理に対する意識が高い一部の区分所有者に仕事を押し付けていては、管理業務がうまく回らないのはもちろんのこと、マンションでの快適な暮らしにも支障が出てきます。

 

最終的にマンションに関する維持・管理の決定権は管理組合にありますし、責任も管理組合が負うことになります。自分もその一員となって今後の組合運営に協力していく必要があるということを、新生活の始まりに意識することが重要です。

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